家づくりをスタートする契約締結は慎重を期しましょう

家づくりをスタートする契約締結は慎重を期しましょう

新築一戸建ての注文住宅というものは、建築を始める前に工務店と契約を締結することになります。この点が、普通の買い物とは異なります。
まだ建てはじめてもいない家の契約を結ぶのですから、お客様が不安な気持ちになるのは当たり前のことでしょう。ここでは、少しでも安心して契約を結べるように、契約を結ぶ際のポイントを紹介しましょう。

十分な打ち合わせをして、引き渡しまでの計画を決めましたか?

買い物をするときは、それが高価なものであればあるほど、自分の目で商品を見て、手で触って、確認しますよね。ブランド品のスーツやドレスなら試着、クルマなら試乗、住宅でも、中古住宅であれば、その物件を見学し、実物を確認します。そのうえで、お金を支払ったり、売買契約を結んだりというのが当たり前の流れです。

ところが、注文住宅の建築工事請負契約では、これから自分のものになるその肝心の商品を、自分の目や手で確認することができません。まだ実物がない状態での契約です。
綿密な打ち合わせをしないまま契約するなんてとんでもないことです。
契約までには、綿密な打ち合わせをして、間取りだけでなく、窓の配置や壁紙の色など、細かな家の仕様を決めて、引き渡しまでの計画もしっかりつくられている必要があります。これらは最低限クリアされているべきことでしょう。

「仮契約」という言葉に騙されないでください

工務店と話を進めていると、「仮契約」という言葉が出てくるときがあると思います。
このとき、本契約ではなく「仮」だから、などとイメージでこれを捉えてはいけません。仮契約は「仮」とついているから、いざとなれば簡単に解約できると思っていませんか?
法律的にいえば、仮契約というものはありません。
「仮」とついていても、法律的には本契約と同じように有効な契約になる可能性が高いのです。解約するときに、手付け金没収などのペナルティが科されることもあります。
「仮契約」というものは、まだ決まっていない取引を、とりあえず契約を結んで顧客をつなぎとめるという工務店サイドの目的があるのです。
まず、間取りも何も決まっていない段階では、「仮契約」であっても、絶対に契約しないでください。とくに、その段階で、営業マンが契約をあせらせるような言葉や態度を示しているようなときは要注意です。
大切であるはずのお客様が、解約時のペナルティで、あとで泣きを見るかもしれないような大事な場面なのに、自分の営業成績やノルマ達成のために強引に仮契約を結ぼうとしている可能性が高いからです。
もし、仮契約を結ぶことになった場合は、その仮契約書の内容には十分注意してください。
書類のなかに、
「一方的な解約の場合には効力を有さない」
「一方的な解約の場合、手付け金全額没収」
といった文面があると、あなたがその仮契約を解約しようとすると、それが適用されてしまいます。
「仮契約」という名前の契約でも、その書類に書かれていることには、法的な効力があります。何度でも書きますが、契約書の内容をよく確認してください。
何より、その工務店、その営業マンが信頼できると見きわめるまでは、極力、契約を交わさないことが大事です。

不安をなくすためは、しっかりとした信頼関係が必要です

工事の内容や計画をきちんとクリアしたとしても、契約を結ぶのが不安になってしまうような場合もあります。
契約しようとしている工務店は、契約前に決めたことをきちんとやってくれるでしょうか。要するに、その工務店や担当営業マンを信頼できるかということです。
きちんと工事をしているかどうか、自分で監視すればいいと思うかもしれません。でも、毎日のように現場を訪れて見ていても、建築の知識がない普通の人にとっては、工事が適切に行われているかをチェックすることは、きっと難しいでしょう。壁が閉じられてしまえば、その中でどんな処理をされているのかは確認できなくなってしまいます。要は、手を抜こうと思えば、いくらでも手が抜けるのです。
では、不安をなくすためにはどうすればいいのでしょうか。
契約を締結し、引き返すことが可能な段階になるまでに、その工務店や営業マンに工事を任せてもいいかどうかをしっかりと見きわめ、信頼関係をつくるしか方法はないのです。

土地の値段は交渉できます

土地の値段がどういうふうに決まるかご存じの方はいるでしょうか。
じつは、値段のつけ方にはルールがありません。いくらで売るかは売り手の自由です。もちろん、相場というものがあります。あまりに高すぎると売れません。
地主が自分で買い手を見つけることも困難でしょう。通常は不動産屋さんに媒介を依頼します。
その不動産屋さんは、どうやって土地の値段を決めるのでしょうか。
通常は、公示地価、路線価(国税庁によって公表される、道路に面した宅地1平方メートルあたりの土地の評価額のこと)、周辺の取引相場などをみて、上下幅をもたせながら決めます。
たとえば相場的に1千万円の土地だったら、1割の上下幅をもたせて、900万円から1千100万円が妥当だ、などと売り主に提案するわけです。
900万円と1千100万円では200万円も違います。
この上下幅のために、今その土地を買うのは得なのか、損なのか、迷ってしまうことになります。
土地の値段はそのようにややこしい仕組みがありますが、安く買える場合もあります。
どうしたら安く買えるのか、それを知るため、まず「媒介契約」の仕組みを説明しますね。
土地の売り主と不動産屋さんとで交わされる媒介契約は、3カ月ごとに更新されます。
売り主はなるべく高値で売りたいですから、最初に設定される値段は、上下幅をもたせた中でも最も高い値段をつけます。そして不動産屋さんは、買い手がその値段にどう反応したかなどを売り主に報告します。

そして3か月後。
不動産屋さん「この3か月で1件も問い合わせがありません」
売り主「そうですか。まだ3か月だから、もう少し様子をみましょう」

さらに3カ月後(トータル半年後)。
不動産屋さん「まだ1件も問い合わせがありません」
売り主「ええっ? 早く買い手をみつけてくださいよ」
不動産屋さん「では、設定金額の幅の中で、少し値段を下げてみましょうか」

こんなふうに価格を見直されることが多いのです。
半年以上売り出している土地には、価格交渉できるチャンスがあるとみていいでしょう。
もっとも、人気がある土地だと、値段が下がる前に売れてしまうかもしれません。それでは元も子もないので、見つけたら積極的に価格交渉をしてみましょう。

価格交渉は、買付証明書に購入希望者の氏名、購入希望価格、購入希望日を記入して不動産屋さんに渡し、売り主に伝えてもらいます。
売り主に直接話をするのは不動産屋さんなので、どんな人がその土地を購入希望しているかというイメージが売り主に伝わりにくいという問題があります。そこで買付証明書にひと工夫し、家族構成や勤務先、購入する土地の利用方法、価格交渉をする理由など、さしさわりのない範囲の情報を書き込むことで、自分たちのことをイメージしてもらいやすくなります。

どの時点で契約するのが適切なのか

家の仕様も間取りも何も決まっていない段階で、営業マンが「とにかく契約してください」と要求してくるような工務店は論外ですが、工事請負契約を結ぶタイミングは、工務店によって異なります。
たとえば、仕様や間取りが決まり、間取り図が出た時点で契約をお願いしてくる工務店もありますし、工務店からからは標準仕様を提案された段階で、「細かい仕様などは後日に決めましょう」とあまり話をつめていない段階で契約するところもあるようです。後者のような工務店では、標準仕様書はあっても、建てる家そのものの設計図などの図面はないことになります。細部までつめずに契約してしまってもいいのでしょうか?

細部まで詰めずに契約してしまうと、契約内容にない追加工事が発生し、最終的な支払金額がどんどん増えてしまうおそれがあります。
追加なんてそうそう出ないだろうと思うかもしれませんが、実際には、追加工事になるケースがじつにたくさんあります。
次々と追加工事になって金額がふくらんでしまうと、最悪の場合は、追加融資が必要になるようなことにもなりかねません。
ですから、契約に関しては、支払金額がこれ以上は変わらないだろうという状態になって、はじめて契約する、というくらいのスタンスで臨むことをお勧めします。理想をいえば、着工の日取りが決まっているくらいの段階です。
「あなたの会社で建てますから」という意思表示はしても、契約書に判を押すのは全部が決まってからがベストです。
そのためには、契約後に追加工事が一切出ないというくらいまで、事前に話をつめておきたいところです。
地盤調査も契約前にやって、土地の改良が必要かどうかというアタリをつけ、必要なら契約書に盛り込めるようにしておきましょう。

手付金は何のために必要なのか

工事の請負契約を結ぶ前に、大きい金額の手付け金を要求する工務店もあります。
会社によって異なりますが、大手住宅メーカーでは100万円ほどの相場です。
この手付け金というのは、何のためにあるものでしょうか。
間取りも仕様も何も決まっていない段階で、「まず、100万円入れてください」と言われても、そのお金の使い道が何なのかはわかりませんよね。
じつは、そのお金は、何かに使うためのものではなく、本契約を締結するまで他社に乗り換えられないようにするための「担保」の意味合いが大きいのです。
乗り換えをけん制するために、わりと大きな金額が設定されているわけです。

菅谷工務店では、契約前にお金をご請求することは一切ありません。
契約の際には、申込金制度といって、10万円ほど入れていただいています。
この10万円の使い道は、家を建てる土地の地盤調査費用です。もし残ったお金が出たら、それは工事代金に充当します。
地盤調査はどこで建築をするにしてもかかる費用ですから、この申込金を支払った後に別な工務店と契約を結ぶことになっても、お金がムダになることはありません。

手付金が全額戻ってこないこともあります

手付け金の場合はどうでしょうか。支払った後に他社に乗り換えた場合、手付け金はどうなるのでしょう?
大手住宅メーカーであれば、コンプライアンスの問題には敏感なので、お客様相談窓口などに相談すれば、ほとんどの場合、全額戻ってこないということはないと思います。しかし、たいていの場合、全額返金されることは少ないようです。
家の設計を始めてしまったとか、土地の調査に人を雇ったなど、すでに住宅会社が動いた分の手間賃などを請求されるからです。
中には、全額を返せないとしている工務店もあります。営業マンレベル、支店レベルの話で、お客様をつなぎ止めるための1つの手です。
いずれにしろ、手付け金の支払いに気軽に応じてしまうと、返金する、返金しないという問題で、のちのち大きなトラブルに発展しかねないということです。
お互いにイヤな思いをしないためにも、また、これから使う大事な住宅資金を目減りさせないためにも、手付け金の大きな工務店と話を進めるときは十分に注意しましょう。
少しでもわだかまりや不満、疑問などがあったら、大きな手付け金を支払う前に、勇気をもって断りましょう。

たとえペナルティがあっても契約破棄したほうがいい相手もいます

ここで、リフォームの相談でこられたお客様の実例を紹介しましょう。
このお客様は、食器棚とトイレの手洗いを設置してもらえないか、というご相談でいらっしゃいました。
私たちが不思議に思ったのは、その家が、まだ建ててから1年もたっていないということでした。なぜ最初からつけなかったのでしょうか。そもそも、家を建てた工務店ではなく、なぜ菅谷工務店にいらっしゃったのでしょうか。
疑問に思った私たちは、お客様に理由をうかがいました。
お客様の答えは、驚くべきものでした。なんと、その業者が逃げ回っていてつかまらないというのです。
お客様は、その業者を信用して、完成する前にお金を全額支払ってしまっていたとのこと。
ところが、どうやらその業者は資金繰りに困っていたらしく、
「あとでつけますから、、この状態で引き渡しということにしてください」
「食器棚や洗面ボウルは、今手配しているので、もう少し待ってください」
などと言葉巧みにごまかし、先に全額払わせて、あとは知らんぷりしているというではありませんか。
結局、そのお客様は、食器棚とトイレの手洗いを取り付けるために、さらに50万円も支払うことになってしまったのです。

いくら信用している業者であっても、完成していなければ、全額を支払わず、残金をいくらか残しておくということは鉄則です。
完成前に全額払ってしまうと、この実例のように、うまく引き延ばされたり、はぐらかされたりして、未完成のまま逃げられてしまう恐れがあるのです。
きちんと契約書を交わしても、お金を払う前なら、ギリギリ解約は可能です。
契約書に、お客様都合による解約のペナルティが記載されていれば、そのペナルティは科されてしまうかもしれません。しかし、それが何百万円といった金額でなければ、ペナルティを科されたとしても、契約書を破棄したほうが後悔と被害が少ない場合もあるということを覚えておいてください。