信用できる工務店を見積の「諸経費」から見分ける方法

信用できる工務店を見積の「諸経費」から見分ける方法

住宅業界のわかりにくい「常識」~千葉・茨城の家の価格判断で注意したいポイント」という記事で、住宅業界の見積書は書式がバラバラで、合い見積もりをとっても比較できないと書きましたが、そんな見積書の中にも、信頼していい工務店かどうかを見分けることができるポイントがあります。
それは、見積書の中に「諸経費」という細目があり、その中身がどのようなものか、ということです。
「諸経費? 書いてあっても不思議じゃないでしょ?」
そうおっしゃる方もいるかもしれません。
「知らなかった」では済まされない、新築一戸建てに必要な諸費用は?」という記事で、お施主様の側でも、諸費用を用意しなければならないことを書きました。
そういうものが、家を建てる工務店の側にもあるのでしょうか。
よく考えてみてください。
諸経費って、一体何のための経費ですか?
それだけでは、何に使われる経費なのかわかりませんよね?

「諸経費」は利益を出すための予備費かもしれない

たしかに、家を建てるときにかかる費用には様々な細かい項目がありますので、「諸経費」とまとめたくなるものもあります。
たとえば、

  • 建物の登記や抵当権設定などの登記費用
  • 工事請負契約の印紙代
  • 中間・完了検査手数料などの経費
  • 職人さんたちが使う車の駐車場代
  • ご近所への挨拶にかかる費用などの近隣対策費

などといったものですね。
細かいことを言ったらきりがないと思われるかもしれません。
でも、そうした細かな経費の積み重ねが百万円単位になっていたら、やっぱりそれが何に使われるお金なのか、気になりませんか?

誤解してほしくないのですが、柱1本、ネジ1本の値段まで、細かく全部見積書に書くべきだ、ということを言っているのではありません。
あくまでも、「諸費用と書かれていること」が問題だと思うのです。
なぜなら、「諸費用」というのは、それを見たお施主様にとっては、何に使われるかがわからない、グレーゾーンのお金だからです。
グレーゾーンの項目があると、工務店の側にとってはたいへん好都合です。
自分たちが何かミスして、損が出たときに、その穴埋めとしてその項目のお金を使うことができます。
ミスなく工事が完了できたら、そのお金は自分たちの利益にしてしまうことができます。
つまり、「予備費」というものですよね。
実際、大手ハウスメーカーの営業さんでは、少なからず予備費のような項目を設定しているんです。
大手ハウスメーカーでは、お施主様と契約を締結した後に、細かく実行予算を立てて、設計管理部門などに渡していきます。
大きな会社で、間に何人もの査閲や承認者がいますから、この提出する予算の数字というものは、あとから何かあって動かしたくなっても、なかなか動かせないんですね。
予算を提出した後、予期しないトラブルがあって、予算に盛り込んでいなかったような対策費が必要になると、始末書を書いて上司に怒られながら、会社にお金を出してもらうことになるわけです。
誰しも、始末書を書いたり、上司から叱責されるのはイヤなことです。
そこで、あらかじめ諸経費という名目のお金を、万が一何かあったときのために入れておくというわけです。
「ミスがあったときの補填のための費用」なんて正直に書くわけにもいかないので、さらっと、「諸費用」として計上するわけですね。
最近では、「基礎対策工事費」のような呼び方をしたりします。
工務店がミスして出た損を、お施主様が払ういわれは、もちろんありません。
予備費のような目的のための「諸経費」が見積書に入っていたら、その工務店に家を建てることを頼むのは、やめたほうがいいと思います。

中間マージンが「諸経費」になっている場合も

「諸経費」は、ミスの補填のための予算ではなく、単純に「中間マージン」のために計上しているケースも、よくあります。
建築条件付きの土地で、不動産屋さんが下請けの工務店に工事を丸投げするような場合です。
そういう不動産屋さんでは、下請けの工務店と、坪数に応じた工事代金の契約をしています。
土地を買った人に工務店を紹介して、自分たちは何百万円かの歩合をもらうわけです。
こういう場合、その歩合の名目はたいてい「諸費用」となっています。
実際のところは、いわば紹介料ですよね。
でも、「紹介料」とか「仲介料」という細目になっているならともかく、「諸経費」として計上されていたら、なんとなく釈然としないものを感じませんか?

もちろん、工務店によっては、単に、印紙税や登記費用といった細かい費用を、まとめて「諸経費」としているだけの会社もあります。
だから、「諸経費」という項目があったら、即ダメな工務店、ということにはなりません。
「諸経費」という項目があったら、こんなふうに営業担当者に率直に聞いてみてください。
「この諸経費って、何ですか?」
「諸経費には何が含まれているんですか?」
見積に計上されているということは、諸経費の内容も当然決まっているはずです。
「諸経費って何?」と聞かれても即答できないようであれば、その工務店に頼むのはやめておいたほうがいいでしょう。